野田秀樹作「エッグ」　パリ初日好評　仲村トオル＆妻夫木聡も手応え

　東京芸術劇場の芸術監督を務める野田秀樹（５９）が作・演出、出演する舞台「エッグ」が３日（日本時間４日）、
パリのシャイヨー劇場で初日の幕を明け、日本と変わらぬ熱狂的な興奮で観客をとりこにした。

　幕が降りたのは、午後１０時４０分すぎ。カーテンコールは３度にわたった。８００人以上が詰め掛けほぼ満員の
観客から拍手が鳴りやまない。字幕付きで上演された野田の現代劇は、戦時の秘話も盛り込んだ娯楽作だったが、
ときに笑い声も起こるなど、言葉のカベを乗り越えて、異文化の人たちの心に届いた。

　「赤鬼」「ＴＨＥ　ＢＥＥ」など近年の野田作品は海外キャストに野田が入ったユニットでロンドン、パリ、香港、
ニューヨークなどで上演されてきた。今回のような日本人キャストでの大規模な野田作品の公演としては１９８７年、
野田が主宰した人気劇団「夢の遊眠社」の「野獣降臨（ノケモノキタリテ）」が、エディンバラ国際芸術祭に招待されて
以来２８年ぶりになる。

　２０１２年、東京・池袋の東京芸術劇場での初演を見たディディエ・デシン芸術監督が感銘。「この芝居には、
われわれ（パリの人々、あるいは欧米人）の知っている日本と、知らない日本と、知りたい日本とが混在している」
と熱心に招へいを持ち掛けて実現した。「エッグ」には寺山修司もフィーチャーされているが、日本の現代劇が
シャイヨー劇場で上演されるのは、寺山の「奴婢訓」以来３３年ぶりという偶然も重なった。

　野田のほか仲村トオル、妻夫木聡、深津絵里、秋山菜津子、橋爪功、藤井隆、大倉孝二ら初演と同じ人気俳優が
スケジュールをやりくりしての“海外試合”は、上々の滑り出し。
「力んでしまった」という仲村だが、「演劇というものは言葉で話しても分からないことでも、芝居を見せることで
相互理解ができる、共通言語のようなものになりえる」と興奮を隠しきれない。
「笑い声や反応から、パリの観客との距離感がすごく近く感じられたことが感動的」と妻夫木も手応えをつかんだ



http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/entertainment/news/CK2015030502000193.html