◆米グーグル、通販即日配送でアマゾンに挑戦状

米グーグルがネット通販の宅配サービスで、米アマゾン・ドット・コムに戦いを挑んでいる。
大手スーパーなど米小売り40社以上と提携し、専用サイトで注文を受けた商品を
即日配送する事業を全米の主要都市で本格的に始めた。
グーグルがネット通販の「足回り」にまで手を広げる背景には、
収益の柱である広告事業を巡るアマゾンとの攻防がある。

■「ググらず」に危機感

写真：グーグルはネット通販の即日配送サービスを全米７都市に広げた


米サンフランシスコ市。住宅街を車で走ると、青い落下傘のイラストと
「グーグル」のロゴが入ったワゴン車をあちらこちらで見かける。
生鮮食品や日用品などを宅配する「グーグル・エクスプレス」の配送車だ。

グーグルがサンフランシスコとシリコンバレーで「エクスプレス」の
試験サービスを始めたのは2013年春。
13年秋に本サービスに移行すると、14年５月にニューヨークとロサンゼルス、
14年10月にはシカゴ、ボストン、ワシントンに進出した。
利用者数は公表していないが、即日配送を利用できる地域の人口は
合計700万人を超えたという。

モール形式のウェブサイトには、会員制ディスカウント店の「コストコ」や
食品スーパーの「ホールフーズ」、玩具専門店の「トイザラス」など
全米展開する大手から各都市の地場スーパーまで43社が出店する。
年会費は95ドル（約１万1000円）で、１回の注文総額が15ドル以上だと
配送料が無料になる。
07年にアマゾンが始めた生鮮食品の宅配サービス「アマゾン・フレッシュ」より
年会費や送料無料になる注文総額を割安にした。

写真：アマゾンは2007年に生鮮食品の宅配サービス「アマゾン・フレッシュ」を始めた


「ネット検索の最大のライバルはアマゾン」。
グーグルのエリック・シュミット会長はこう公言する。
検索市場で圧倒的なシェアを持つグーグルだが、ネットでの買い物に限れば、
「ググらず」に最初からアマゾンのサイトで商品を探す消費者が増えているためだ。

買い物がらみの検索はグーグルの検索全体の３～４割を占めるとの見方もある。
年間７兆円を超える売上高の大半を検索に連動した広告収入に依存しているだけに、
影響は大きい。

アマゾンの攻勢にさらされているのは、小売業者も同じだ。
アマゾンは先月、ニューヨーク市マンハッタン地区で注文から最短１時間で
商品を配達する新サービス「プライム・ナウ」を開始。
「アマゾン・フレッシュ」の提供都市も着々と広げている。

■40億ドルの巨大市場に

米調査会社ＢＩインテリジェンスによると、米国の主要20都市における
即日配送サービスの市場規模は14年に１億ドルを突破。
ネット通販の利用拡大を追い風に18年には40億ドルに達する見通しだ。

日本経済新聞/電子版