「ぽっちゃり」で「ポジティブ」魅力　「ぽちゃティブ」に熱視線　女性誌相次ぎ特集
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　「ぽちゃティブ」っていう言葉を知っていますか？
　体形が太めの女性「ぽっちゃり女子」のためのファッション誌が提唱する、ぽっちゃりをポジティブにとらえるという考え方。
今、ファッション業界など各方面で注目を集めている。彼女たちに焦点を当てたアパレルやお見合いパーティーなども続々登場し、「ブーム」は道内にも広がりつつある。
　「身長１６７センチ、今日の体重は８７キロです」
　札幌市白石区の天谷実（てんやみのり）さん（２２）は、そう言って明るく笑った。７月１９日発売予定（道内２３日）
のぽっちゃり女性向けファッション誌「ｌａ・ｆａｒｆａ（ラ・ファーファ）」（ぶんか社）９月号で、北海道の読者モデル第１号としてデビューする。
　「洋服を楽しむなんて別世界のことだと思っていました。参考にならないのでファッション誌なんて買ったこともなかった」。
襟ぐりの大きなピンク色のカーディガンに身を包み、花柄の白いシフォンスカートで現れた天谷さん。とてもチャーミングだった。
　４月下旬に札幌市内で開かれた同誌のオーディションで選ばれ、６月下旬、都内での撮影に挑んだ。
「洋服７着に合わせ、毎回、スタイリストさんが髪をセットしてくれた。まるでお姫様になったようなフワフワした気分だった」
　意識は１８０度変わった。太りだしたのは中学３年から。体形を隠すため、いつも男物のＴシャツにジーパン姿だったが、
モデルになり、日々おしゃれを楽しむ。高校の制服以来避けてきたスカートをはき、足の太さを隠すため、夏でも欠かさなかった黒レギンスを脱ぎ捨て、素足で歩く。
　立ち姿でポーズを取ってとお願いしてみた。一瞬、照れた様子を見せたが、レンズを向けると、手を腰に当て、カメラ目線に。
「太めでも、おしゃれはできると思ってもらえるよう、すてきなモデルになりたい」
　昨年３月創刊の同誌は発行部数約１０万部の人気雑誌だ。体重公表が条件にもかかわらず、
読者モデルは全国から２８００件以上応募があった。女性誌「ＣａｎＣａｍ」や「ａｎ・ａｎ」でも昨年、ぽっちゃりした女性の特集が組まれ、ブームを印象づけた。
　アパレル業界も注目する。昨年５月オープンのｅｕｒ３（エウルキューブ）札幌アピア店は、アパレル大手イトキンの
大きいサイズ専門ブランド。２０、３０代向けに、鮮やかなピンクやオレンジのチュニック、パンツなど２Ｌ～６Ｌを取りそろえる。「売り上げは毎月１０％の伸び」という。
　これまで婦人服サイズはＳＭＬの展開が一般的で、大きいサイズはデザインや種類が多くなかった。
「日常的にぽっちゃりさんが着ていたのは、メンズ用スポーツウエアなどで『着たい服』とはほど遠かった」（アパレル関係者）。
　いち早く、この市場に目をつけたのは大手通販ニッセン（京都市）だ。０２年にウエスト１５４センチまでの
サイズをそろえたカタログを出すと大ヒットした。「飽和状態のアパレル業界で、大きめサイズは『穴場』だった」（同社広報）。
現在、全国に店舗５店を展開し、年間売上高は約５億円。全体の約２割を占める。
　人気はお見合い市場にも広がる。６月下旬の日曜日、ＪＲ札幌駅近くのビルの一室。
太め体形の女性１４人と、男性１４人が向かい合って談笑していた。男性の多くは細め体形。業界大手「エクシオ」（横浜市）が開いた「ぽっちゃり女性限定」のパーティーだ。
　同社は同様のパーティーを、札幌では１３年から開催している。毎回定員を満たす人気企画で、
今年から月１回ペースで開いている。この日の参加者は２０～４０代で、６組のカップルが成立した。
終了後は食事に出かけるカップルや、電話番号やメールアドレスを交換する姿も。
　残念ながら、相手が見つからなかった苫小牧市の男性（３９）は「ぽっちゃり体形は自然体でカワイイ。
次回も参加して、彼女にしたい」。一方、意中の男性とカップルになれた札幌市中央区の女性（３０）は
「日々やせようと努力しているけれど、『ブーム』は今の自分も否定しないでいいとプラス思考にさせてくれた」と前向きに話した。（根岸寛子）

●タレントも活躍、元気で健康的　
人気芸能人の渡辺直美さんや森三中（もりさんちゅう）など、ぽっちゃり体形のタレントが活躍していることも意識の変化を後押ししているとし、
「今、ぽっちゃりさんというと、元気で健康的なイメージを持つようになっている。個性の一つとして認められる時代になったのでは」。